本物の温泉ホテル
≪吸い上げられ涸れていく温泉≫
一般的に日本人には水資源は無限に湧き出るものというような認識があり、温泉資源にも同様な考えを持っている人がいます。しかし実際には雨水が山野の表面から地中に浸透する速度と量、それが温泉となって吹き出る量などは決まっています。つまり過度に温泉を吸い上げようとすると温泉は容易に枯渇してしまうのです。
1988年～1989年にかけて、全国各地の自治体に1億円が配られた「ふるさと創生事業」では、全国に何百という温泉施設が出来ましたが、その多くはその土地の自然環境から考えて温泉量はどのくらいが適度かを考えずに、乱暴にボーリングで穴を掘って無理やり地中深くの温泉をポンプでくみ上げている所が多く、少ない温泉量をごまかす為に排水を再利用する循環湯システムなどを使ってどうにか形を整えているのが現状です。
≪温泉ホテルの莫大な必要湯量≫
この吹き出る温泉量がある程度決まっているという事は、何百人もの人が宿泊でき、多くの露天風呂や内風呂を抱えている為、必要な湯量が莫大な本物の温泉ホテルにも運営上の大きな制約となって掛かってきています。
源泉100％かけ流しの本物の温泉を維持するには客一人に付き毎分1リットル以上の温泉湧出量が必要だといわれています。しかし、特に新興のホテルにはそれだけの源泉を確保することは非常に難しいのが現状で、多くのホテルは循環湯システムに頼っているようです。
中には循環湯のイメージを払拭する為に「源泉100％かけ流しの天然温泉」という看板を掲げながら、実際には謳い文句どおりの源泉100％かけ流しの温泉風呂はホテル内にこじんまりした湯船が一つあるだけで、そのほかの大多数の湯船は循環湯などという詐欺まがいの広告をしているホテル施設もあると言います。
最初からその事実をしって割り切った上で利用するなら良いのですが「本当の温泉」のある温泉ホテルに宿泊したいのであれば、ネットの温泉情報を調べたり電話で確認したりする事前の調査は不可欠だといえるでしょう。
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